阪神“異例”フロント大刷新 「Vへ全力」役員5人中4人交代

阪神は6日、四藤慶一郎球団社長(57)が退任し、代わって電鉄本社取締役の揚塩健治氏(57)が球団社長に就任する役員人事を発表した。同日開かれた臨時球団取締役会で承認された。人事は12月1日付。他に高野栄一球団本部長(54)ら常勤役員4人が退任する異例の大刷新で、3年目の来季、優勝を目指す金本知憲監督(49)体制を支える。

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 球団取締役を退任となるのは四藤慶一郎球団社長、高野栄一常務・球団本部長、田付晃司総務部長の3人。粟井一夫常務・営業部長は取締役で残るが、電鉄本社スポーツ・エンタテインメント事業本部副本部長となり、前線の甲子園勤務、いわゆる常勤役員からは外れる。常勤役員5人のうち4人が交代する異例の大刷新となる。

 谷本修常務は「常勤役員で私だけが残り、驚いている」と話し、新たに副社長となり、本部長を兼務する。

 今回の球団役員の異動は、同日発表された本社の人事異動に伴うものとされる。退団する四藤球団社長は本社に復職、不動産事業本部副本部長に就く。四藤社長は「阪急阪神ホールディングス(HD)内で来春、不動産の中核会社が設立される。不動産事業の経験者として私、ということになったのではないか」と説明した。

 「グループの体制整備のため」と執行役員制度が導入され、四藤氏、粟井氏、谷本氏も本社執行役員となる。

 来季に向けた補強など編成作業が本格化する時期というのもまた異例だ。例年、球団の人事異動は補強・編成作業が一段落した後の新年1月1日付。ストーブリーグ本番を前にした時期について、四藤社長は「4月のグループ新体制に応じるには1月1日付では間に合わない」と本社や阪急阪神HD主導という意図を繰り返した。

 1935(昭和10)年の球団創設以来、14代目となる四藤社長の就任は金本監督就任を受けた2015年11月1日付だった。在任期間2年1カ月は、日航機事故で他界した中埜肇氏の10カ月を除き、歴代球団社長のなかで最短となる。

 四藤社長は金本監督と二人三脚で再建を目指してきた。同時に退任となる編成トップの高野球団本部長とともに、現場への支援が万全だったかと力量を問う声もある。近年の外国人など補強面の失敗が問題視されていた。

 四藤社長は「私個人としては3年で結果をという思いでやってきた。それが3分の2。球団社長は本来、短命であってはいけないかもしれないが、後継者もいる」と話した。

 新たに球団社長に就く揚塩氏は現在、電鉄本社取締役、阪急阪神ビルマネジメント副社長。甲子園球場長を8年務め、球団常務以来6年ぶりの球団復帰となる。甲子園の球団事務所で行った就任会見では「来年で13年遠ざかる優勝をファンは待ち焦がれている。身を粉にして、全力を尽くす」と誓った。