生きているのに死んでいると錯覚!? 「コタール症候群」って何?

世の中には本当にいろいろな病気があります。誰でもかかるありふれた病気から、とても珍しい種類の病気まで、何千、何万という種類の病気がありますが、中でも珍しい「コタール症候群」という病気をご存知でしょうか。

大多数の方は聞いたことがないと思いますが、今回はこの非常に興味深いコタール症候群について医師に解説していただきました。

「自分が死んでいる」と思い込んでしまう奇病!
「コタール症候群」は簡単に言うと「自分が死んでいる」という非常に不思議な感覚にとらわれてしまう病気です。実際にいつも通り、生活をしている自分が実は死んでいる…と思いこむことはなかなかイメージがわきにくいのですが、重いうつ状態にある方や、ストレスが強い状態の方に特におきやすいとされているようです。

具体的には

・自分はすでに死んでいる
・死んで身体が腐って、匂いを発している
・脳みそや身体の臓器がなくなっている

といった感覚にとらわれる方が実際にいるのです。
一旦、この奇妙な感情にとらわれると、簡単には抜け出せず、当然のことながら日常の生活が非常に苦痛になります。患者さんの中には、このあまりに突飛ともいえる症状から、なかなか周りの方にも相談できずにいる方もいらっしゃるようです。

人の表情や感情がわからなくなる?
この病気の歴史は意外に古く、1882年にJules Cotard博士により報告されたのが最初であり、この博士の名前をとってコタール症候群と呼ばれています。

更に不可思議なことに、このコタール症候群の患者さんは人の顔を認識することが難しく、誰かの表情から、怒り、悲しみ、喜びといった感情を読み取る、ということができなくなっているそうです。

人間の脳の中で、自分が死んでしまっている、あるいは身体がないといった感覚を司る部分と、周囲の人の顔を認識したり、表情から気持ちを読み取ったりする部分は関係が深いところにあるのでしょうか。興味深いものです。

【医師からのアドバイス
コタール症候群のように、確かに世の中に患者さんがいるのにあまり知られておらず、特効薬もない不思議な病気というのは実はたくさんあります。これらの病気が医学の進歩で、少しずつ解明される日が待ち遠しいですね。